お金を借りている人も知っておくべき債権回収の実態

貸した側だけでなく借りた側も知っておくべき債権の回収方法

「差し押さえをされた」という話をよく聞きますが、消費者金融への借り入れにおいてマンションや土地などの不動産を抵当に入れられるケースはあまり聞いたことがありません。それでも強制執行、つまり財産を差し押さえされる可能性は十分にあります。ここでは、主に金融機関に限らず、法人が債権回収の実務としてどのようなことを行っているのかを知っておき、お金を借りている人は滞納によってどんなリスクがあるのかを把握しておきましょう。

債権回収に向けた様々なアクション

債権回収において、よく「法的手続きを開始」などというセリフを耳にします。法的手続きと一口にいっても、その方法は様々です。民事訴訟をはじめ、支払い督促、少額訴訟、あるいは公正証書による強制執行などの裁判所を介した手続き全般が含まれます。もちろん、直接連絡して催促する行為も債権回収です。ここでは、債権回収のための部署が存在するような規模の大きな企業ではなく、「債権回収なんて初めてでどうしたらいいかわからない」という中小企業の経営者や、個人事業主、または個人の方向けに、状況別にどんなアクションが考えられるのかを説明します。相手がこちらに対して返済を遅らせてしまったにもかかわらず「事前に何の連絡もなかった」などの場合、電何度電話しても出ない、メールを送っても返信が来ない、というケースでは、まず何をするべきでしょうか?

まずは内容証明郵便がセオリー

債権回収の第一歩と言えるでしょう。この内容証明郵便に法的な効果はありません。最近では、内容証明郵便が届いた程度では「あまり動揺しない」という債務者が増えています。一昔前は、内容証明郵便はそれなりに効果がありましたし、現在でも、初めて受け取る相手に対しては、「裁判の際に証拠となることに加え、次の法的手段の準備を進めることができる」「相手によってはプレッシャーによってすぐに支払う可能性がある」など、まだまだ一定の効果が期待できるのも確かです。実際に、いくら電話しても電話にでなかったり、出ても全く返済の約束すらしないなど、のらりくらりと開き直る様な態度を続ける債務者も、内容証明郵便を送ったとたんに返済が行われたという事例はたくさんあります。

内容証明郵便とはどんなものか

それでは「内容証明郵便」とはどんなもので、債権者にとってどんな意味があるのかを説明します。内容証明郵便とは、その名の通り、「内容を証明」する郵便物です。簡単にいうと郵便局が、その郵便物の内容を証明、つまり証人となってくれる訳です。通常、内容証明郵便は、愛艇に届いたかどうかを証明する「配達証明」付きで送るので、どんな内容の郵便物を相手にいつ届けたかを証明してくれるというオプション付の郵便物と言えます。債権回収の用途以外で有名なのはクリーングオフです。「内容証明でクーリングオフした」というセリフを聞いたことがある方もいるかも知れません。商品を買って相手が返金に応じてくれないので解約したいとき、クーリングオフが可能な期間が決まっていますので、書いた日付が証明されることはかなり重要になりますし、相手が悪意のある販売業者であれば「解約したいなんて聞いていないし、手紙も受け取ってない」と開き直るケースもあるので、そんな相手にはピッタリなのが、この「内容証明郵便」です。これを債権回収にも活用します。

内容証明郵便で消滅時効を中断する

債権回収にどう活用するのかというと、よくある用途としては、「消滅時効」の中断です。内容証明郵便にて「支払いの催促をした」という確かな証拠が存在するので、「一定期間催促がなければ債権が消滅する=返済しなくてもよい」という消滅時効を遅らせることができる訳です。「消滅時効」とは、文字通り、債権が消滅する時効のことで、民法では、金銭の債権を含めた権利に「消滅時効」というものが適用されます。理由としては、「長期間催促や請求もなかったのだから(権利が行使されていない)のであれば、その事実に沿った法的効果を認めるべき」「権利があっても行使しないのなら、法的にもその権利を保護するのは不要だ」という考え方と、「証拠の散逸」といって、「時間が経てば経つほど、その権利を示す証拠となる資料が失われていくので、立証が難しくなるから」という考え方です。消滅時効の期間はその債権の種類によって異なりますが、例えば、個人間での金銭の貸し借りにおける時効期間は「10年」となっています。また、時効にはこの「消滅時効」のほか、一定期間が経つと逆に権利が発生する「取得時効」というものもあります。

内容証明郵便の出し方

内容証明郵便はその「内容を証明してくれる」だけと述べましたが、第三者が読んでも共通の解釈ができるように、一定の書式やルールが規定されています。

必ず3通作成する

「受取人用」「自分の控え」「郵便局の保管用」の3者が所持できるように、内容証明郵便では「同じ文のものを3通」作成するルールになっています。パソコンのワープロソフトでタイピングして印刷したものを3通出すのもよいですし、もちろん、手書きで同じ文面を3通書いても構いません。縦書き、横書きも自由です。

用紙や筆記具も自由

多くの場合は原稿用紙に書きますが、普通紙やわら半紙、通常の手紙を書くための便せんでもOKです。筆記用具は、鉛筆(後から消すことが出来てしまうのでNG)でさえなければ、ボールペンや万年筆など、どれを用いるのも自由です。因みに内容証明用の用紙には、弁護士がよく利用する「赤枠の専用原稿用紙」もあります。

1枚あたりの文字数制限がある

内容証明郵便の書き方は基本的に自由ですが、文字数の制限はあります。例えば、「1行20文字以内でかつ、1枚に26行以内」などの細かい規定があり、横書きの場合も同様に「1行13字以内・1枚40行以内~」などと規定がされています。また、記号や英数字も使用できます。

タイトルをどうつけるかのルールもない

前述したようなルールはあるものの、基本的に内容証明郵便はあくまで「通常の手紙を証明するだけのオプションの様な役割」でしかないため、どんなタイトルをつけるかどうかも自由で、タイトルなしでもOKです。債権回収の場合には、お金を返してほしい旨を表す「貸金請求書」などとつけるのが一般的です。また、どんなタイトルを付けるべきか迷う場合には、幅広く使える「通知書」としておけばよいでしょう。その他、債権回収ではありませんが、いわゆる「ブラック企業勤務で会社をやめたくてもやめさせてくれない」などのケースでは、タイトルを「退職届」とし、これを内容証明で送るということもあります。

必要なもの

また、郵便局の窓口に行く際には、1、手紙(内容証明郵便として出すもの)×3通、2、封筒(受取人と差出人の住所氏名を記載したたもの)、3、差出人の印鑑、その他に郵便料金を持参します。

内容証明郵便の文例

例えば、タイトルが「貸金請求書」の場合、以下の様な文面が一般的です。「私は、あなたに対して、平成27年11月30日、金○○万円を、利息年1割、返済期日平成28年3月31日と定め、貸付しました。しかし、約束の返済期日後に返済請求をしたにもかかわらず、いまだに返済がされておりません。よって、本書面到達後14日以内に元金及び利息の合計金○○万円をお支払い頂くよう、ご請求いたします。もし、上記期間内にお支払いがない場合は、やむなく法的措置を取らせていただきます。」本文はこの様になります。これに加えて、差出人である自分の住所氏名、受取人の住所氏名を記載します。

手軽にできる2つの法的手段

中小企業の売掛債権の回収によく使われるのが、少額訴訟や支払督促です。これらは個人でも利用が可能で、弁護士に依頼せずに自分自身で手続きが出来ます。かかる費用も少額なので、覚えておくとよいでしょう。

少額訴訟とは

少額訴訟が利用できるのは、請求したい金額が60万円以下の場合のみです。法人の場合にはこの請求額が60万円を超えるケースも多いため、あまり活用の機会がない様に思われがちですが、小規模の会社や個人事業主であれば、たとえ60万円以下の金額であっても、経営にダメ―ジを与えてしまいます。原則として「1回の裁判で解決する」ことなど、通常の訴訟と比べて簡単に申立てができる点で人気です。注意点としては、相手が「少額訴訟ではなく通常の裁判を希望」した場合、「少額訴訟制度」は適用されず、通常の裁判へ移行する点です。あまり長引かせたくないなどの理由で少額訴訟を選択した場合には本末転倒となっていまいます。また、「1回の裁判で審理を終える」ということは、第1回の裁判までに証拠資料や証人などをすべて用意しなければならず、これは非常に手間のかかる作業です。通常、裁判というのは、複数回に分けて行われるものですが、少額訴訟というのは、それを一回で結審する「一発勝負」の裁判である点を忘れてはいけません。

支払督促とは

少額訴訟と似た制度で「支払督促」という制度があります。少額訴訟と違い、60万円以下という金額制限もありません。文字通り、支払督促制度は「支払をするように督促する」法的手続きです。裁判所を通じて行う制度であるからには、法的な効力があります。まず、裁判所から一方的に督促状を発行される点が特徴的です。相手方(債務者)は、異議がある場合は、異議申し立てをします。お金を貸した事実や売上代金が確かに存在する場合、(支払うかどうかは別として)請求そのものに争う余地のない場合に有効な手段です。もう一つ特徴的なのが、支払督促には証拠資料は必要としません。厳密には申立て時に何らかの添付資料が必要になりますが、通常の裁判ではないので証拠が本物かどうかの審理はされません。この「支払督促」を受け取った相手方は、受け取った日から2週間以内に「異議を申し立て」をしなければ、申立人は強制執行が可能(30日以内に仮執行宣言の申立てをしてから)となり、相手方の財産を差し押さえることができます。また、支払督促は、法廷に出向く必要がありません。すべて書類のやり取りのみで行われます。ただし、少額訴訟同様に、相手方が異議申し立てをした場合には「通常訴訟」へと移行するので、その場合は結審までは法廷へ出廷することになります。

通常訴訟へ移行する可能性を踏まえて注意すること

支払督促、総額訴訟ともに注意したいのが、通常訴訟へ移行した場合への備えについてです。特に「管轄の裁判所がどこになるか」については、よく確認しておくべきです。支払督促、少額訴訟ともに、管轄裁判所となるのは、「相手の所在地を管轄する簡易裁判所」です。そして、相手が異議申立をして通常訴訟へ移行した際も、同じエリアの地方裁判所で裁判が行われることになるのです。特に支払督促の場合は、書類のやり取りだけで進むという点がメリットでもありますが、相手の所在地が遠方であれば、通常訴訟となった場合に交通費の負担や長時間の移動のデメリットを受けるのはこちら側です。

支払督促と少額訴訟はどう使い分けるか

支払督促と少額訴訟はどの様にして使いわければよいのかという疑問がありますが、基本的な考え方として、相手が弁護士を立てて異議申し立てをしてくるなど、通常訴訟に移る可能性が高いのであればどちらも適していません。しかし、当たればラッキーなのは「支払督促」といえます。借用書やメールのやり取りなど、証拠に自信があり、相手も反論のしようがないという様なケースでは支払督促は一考の価値があります。これに対して少額訴訟を利用する意義についてですが、請求額が60万円以下であるという前提に加え、「通常の裁判と同じ意気込みで証拠資料も揃える準備もあり、証人を呼ぶ準備もあるが、1回で判決が出るというメリットを選択したい」という様なケースが適しているでしょう。

支払督促手続きの流れ

ここでは、実際に支払督促の申立てを行う際の流れを説明します。

申立にかかる費用

【申立手数料】所定の手数料を、収入印紙を同封することによって納めます。手数料は請求する金額ごとに定めれられています。例えば、請求額100万円であれば手数料5,000円など。【債務者数分の支払督促正本送達費用】債務者1件あたり1,080円です。債務者が2人いれば2,160円です。その他、「支払い督促発付通知費用120円」、「申立書作成及び提出費用800円」がかかります。また、相手や自分が法人の場合、資格証明書(つまり法人登記事項証明書)が必要となり法務局で交付してもいます。その手数料が1通あたり600円で、これを債務者の人数分だけ必要となります。

申立書の作成と提出

まずは申立て書類の準備です。裁判所のホームページから様式(テンプレート)がダウンロードできます。提出先は「相手の住所を管轄する簡易裁判所」です。書き方に問題がなければ受理され、相手方へも裁判所を通じて「支払督促状」が送達されます。

異議申し立ての有無

相手方が支払督促状を受け取って2週間以内に異議申し立てをすれば、通常裁判に移行します。2週間以内に異議申し立てもなく、督促状を受けてすぐに支払があればよいですが、何の反応もなければ、強制執行をするための手続きが可能となります。

仮執行宣言手続き

「仮執行宣言手続き」は、最終的に「強制執行」をするために必要となります。「支払もなく異議申し立てもない」となれば、次に行なうアクションは「仮執行宣言手続き」です。仮執行宣言とは、「相手方は異議もなさそうなので、債権回収のために強制執行する権利を与えてください」という様なイメージです。これは、相手方に与えられた猶予期間である異議申し立て期間(支払督促状の送達から2週間以内)から、30日以内に行なわなければいけません。仮執行宣言手続きを申立てて裁判所が審査をし、問題がなければ、裁判所から「仮執行宣言付支払督促状」が相手方へ送付されます。ここでようやく法的な効力を持ちます。初回に申立てした支払督促と異なり、相手が異議の申し立てをしなかった結果、裁判所からも「お墨付き」を得たものが、「仮執行宣言付支払督促」です。

相手に与えられた2度目の異議申立期間

「仮執行宣言付支払督促」を受け取ってからも、「2週間以内に異議申し立てをすれば通常の裁判へ移行する」という選択肢だけは残されていますが、強制執行をする権利そのものは異議申し立て程度では消滅しません。この段階で相手方がこちらの強制執行を防ぐには、裁判所を通じた各種債務整理手続きを行うほかありません。

財産の差し押さえ

2度目の異議申し立て期間が過ぎると、仮執行宣言付支払督促状が、強制執行をする際に必要な「債務名義」となります。この段階でようやく債権回収としては半分が過ぎたといえるでしょう。「仮執行宣言付支払督促」は、通常裁判における「確定判決」と同等の強制力があります。

少額訴訟手続きの流れ

少額訴訟の流れも説明します。原則として1回の法廷で終わります。

訴状の作成と提出

まず訴状用紙を用意します。裁判所へ行き雛型を受け取ってもよいですが、裁判所のホームページからダウンロードすることもできます。訴状を作成したら、被告の住所を管轄する簡易裁判所へ提出します。

裁判期日の決定と被告からの答弁書

裁判所が少額訴訟の訴状を受理すると、審査の後、被告へ通知します。このときに被告は、答弁書による回答も求められることになります。答弁書は訴訟を起こした原告側にも届きます。相手の反論が書かれています。

準備・事前聴集

少額訴訟は1回法廷で終わることを意図していますので、追加の証拠提出などが必要ない様に綿密な準備を行います。この準備期間には、裁判所から様々な証拠の提出を求められることがあります。また、場合によっては証人の出廷も求めることになります。

法廷での審理・判決

いざ本番の法廷です。長くても2時間ほどで終了し、審理の内容としては証拠調べがメインとなるケースが多いです。もちろん、この法廷で和解が成立することもあります。

債権回収のポイントは債務名義を取ること

ここまで説明した内容は、あくまで少額訴訟や支払督促などの「法的手続き」の手順に過ぎません。肝心なのは、これらの法的手続きによって、「判決文」や「仮執行宣言付支払督促」などの、強制執行が可能となる「債務名義」を取得することがゴールとなることを覚えておいてください。また、お金を借りている人も、これらを踏まえたうえで相手が法的手段に訴えた場合、どんな事が起きるのかをよく知っておくべきでしょう。

カードローンから見る消費者金融の変化と実状

カードローンと言えば、今や消費者金融だけでなく、銀行や信販会社も参入するなど、個人にお金を融資するための中心的な金融商品となりました。カードローンの登場によって、利用者は消費者金融の店舗を訪ねることなく、ATMで気軽にお金を借りられるようになったのです。

借金は良くないという考えはあっても、特に若い人にとって今の消費者金融からは、そんなにネガティブなイメージは感じないでしょう。けれども、そこに至るまでは数々の紆余曲折があったのです。そんな消費者金融の歴史を振り返ってみましょう。

消費者金融が誕生するまで

「消費者金融」という呼び方が定着していますが、正式には「貸金業者」と言います。昔の貸金業者と言えば、時代劇でおなじみの「高利貸し」を思い浮かべるかもしれません。けれども古くは平安時代に、年貢の立て替えを目的とした「借上」があったり、その後も「土倉」という物を担保としてお金を貸すシステムが存在し、酒屋がその役割を担う時代もあったのです。

それまで企業向けの大口融資だけを行ってきた日本の金融機関において、初めて個人向けの小口融資が行われるようになったのは、1929年の日本昼夜銀行からだと言われています。その後、戦争によって中断されていましたが、1950年代から各金融機関が再び小口融資を取り扱うようになったのです。

この頃は個人がお金を借りるには、質屋を利用するのが一般的でした。物を担保にお金を借りるのです。期限までにお金を返さないと「質流れ」といって、預けた物は取り返せなくなってしまいます。けれども高度経済成長によって物があふれる時代になり、以前のように多くのお金を借りられなくなってしまいました。

1960年代に入ると、東京や大阪を中心に多くの貸金業者が登場します。東京の日本信販や武富士、関西のアコムやアイフル、プロミスなどです。当時はサラリーマンを主な顧客としていたので「サラリーマン金融」、略して「サラ金」と呼ばれたり、団地の住人を対象としていたので「団地金融」と呼ばれたりもしました。

サラリーマンにしても、団地住まいにしても、選ばれた人しかできないことでした。つまり公的な社会から認められている証拠でもあったのです。これにより、物を担保とする代わりに、貸したお金を必ず返してくれるという信用に基づいて、お金を貸すというシステムが構築されたのです。

1969年には複数の貸金業者による「日本消費者金融協会(JCFA)」が設立され、1972年には初の信用情報機関が設置されました。こうして貸金業界は徐々に整備されていったのです。

オイルショックによるブームとメディアからのバッシング

1973年に第一次オイルショックが発生。生活に困る人が増えたことによって、貸金業界の需要は飛躍的に高まりました。けれども、不景気のために返せない人が続出し、厳しい取り立てによって夜逃げする人や自殺する人が相次ぎました。当時はまだ法的な制約が無い時代だったので、貸金業者の取り立てについてはやりたい放題だったのです。

当時の年利は、なんと109.5%。1年間借りると元金の倍以上を返済しなければいけなかったのです。どこの貸金業者も100%前後の年利で貸し付けていたので、返せない人が続出するのも当然の流れだったと言えるでしょう。

これによって貸金業界には「サラ金地獄」というネガティブなイメージが定着し、同時にメディアから批判が続出しました。この流れを受けてCMが規制されるようになり、貸金業界は徐々に追い込まれていったのです。

ちょうど同じ頃から外資の貸金業者が参入するようになります。当時、日本の貸金業者が100%前後の年利である中、40%台という(当時としては)破格の低金利で貸し付けたため、行列ができるほどの人気を集めました。

けれども、ほとんどの外資系貸金業者がJCFAに加入できず、信用情報を参照できなかったことや、「サラ金地獄」問題の煽りを受けた影響もあって次々と撤退し、最終的にはアイクを以外みんな無くなってしまいました。

1983年には「貸金業規制法」と「改正出資法」が施行されます。これにより貸金業を営むには都道府県知事の登録を受けなければならず、取り立てに対しても規制が謳われ、罰則が設けられるようになりました。同時に上限金利は73%まで下がったのです。

これが決定打となって貸金業界は冬の時代を迎え、わずか1年で23万から3万まで、その数を減らしました。

第二次ブームとバブル崩壊

中小企業の貸金業者が多く廃業・倒産していく中、残った大手の貸金業者は経営の合理化を進め、強固な基盤づくりに努めました。また、社会的な信頼を回復するべく、違法な取り立てをやめるなど、ネガティブなイメージを払拭していったのです。「サラ金」という呼び名は「消費者金融」へと代わり、「借金」も「キャッシング」と言い換えられるようになりました。

そんな中、1986年からCMの規制が徐々に解除されるようになり、これを機に若者や女性をターゲットとしたCMが次々と放送されるようになりました。その中でもアコムの「むじんくん」シリーズやアイフルのチワワのCM、武富士の複数のダンサーが踊るCMなどは大きな話題となりました。

この頃になると、お金は提携ATMや専用のキャッシュディスペンサーで借りられるようになり、わざわざ貸金業者の店舗まで出向かなくてもよくなりました。また、1993年にはアコムによる無人契約機が登場します。電話のやり取りとATMのような機械の操作で契約が完了。すぐに専用のキャッシングカードが受け取れたのです。

ちょうど世間ではバブルが崩壊し、再び貸金業者へのニーズが高まっていました。けれども、気軽に借りられる体制を整えたばかりに、今度は返済能力が高くない若者や女性を中心に多重債務が増加し、新たな社会問題へと発展していきました。

追い打ちをかけるように90年代後半には、「商工ローン」による様々な問題が発生します。元々、中小企業を対象に、保証人をつけることで高額な貸付を行うサービスでしたが、借入先が破綻するのを承知しながら過剰な貸付を行ったり、法外な年利だったり、過酷な取り立てを行うなどして自己破産や自殺に追い込まれる人が続出したのです。

2000年には出資法の改正により年利は29.2%まで下げられました。CMも再び規制が入るようになり、貸金業界の雲行きは怪しくなっていったのです。

グレーゾーンの撤廃

2003年、自己破産者の数は24万人とピークを迎えました。再び冬の時代を迎えた貸金業界では、大手の貸金業者が銀行と提携するなど、再編が進んでいました。例えばアコムがMUFG、プロミスがSMFG、レイクが新生銀行などです。共に顧客の拡大や信用情報の共有という思惑が合致した上での提携だったのです。

そんな中、2006年に貸金業界を揺るがす判決が出ました。いわゆる「グレーゾーン金利」の問題です。実は1954年から「利息制限法」上では、10万円未満の貸付は年利20%、1000万円未満なら18%、100万円以上は15%と上限が設定されているのです。

けれども当時の利息制限法は強制力がなく、貸金業法において「借り手が任意に利息を払った場合はこの限りではない」とされ、出資法で定められた上限を超えなければ、利息制限法の超過分は元本に充てることなく利息として受け取れたのです。

これを「みなし弁済」と呼び、その範囲にある金利、つまり10万円未満の借り入れなら、18%から29.2%の間を「グレーゾーン金利」と呼びました。

2006年の判決は、借り手の任意を本来の自由な意志ではなく、貸金業者の強制を受けたものと判断して、この「みなし弁済」を違法としたのです。

これをきっかけにグレーゾーン金利撤廃に向けての動きが活発化し、やがてそれは2010年に出資法の上限金利を20%に下げ、貸金業法の上限金利を利息制限法と同一とすることで決着したのです。

グレーゾーン金利で支払っていた利息は「過払い金」として請求できるようになり、一部の貸金業者が廃業に追い込まれる一因となりました。武富士が会社更生法を適用されたり、アイクが新規貸付業務を停止したのもこの頃です。

大手銀行の貸金業務本格参入とイメージの転換

2010年に貸金業法が改正され、上限金利が利息制限法と同一になったほか、新たな多重債務や過剰な貸付を防ぐために「総量規制」が導入されました。年収の3分の1までしか貸付できないというもので、これにより貸金業者から借りられる金額が大幅に減ったほか、収入の無い主婦や学生は借り入れすることすらできなくなりました。

審査がこれまで以上に厳しくなり、その成果もあって返済能力の無い人に対する高額貸付が大幅に減りました。それに伴い、債務整理の件数も減ったのです。

この頃になると、リーマンショックによって窮地に追い込まれた銀行が、個人向けの貸付に活路を見出し、カードローンに本格的な参入を始めます。

銀行は貸金業法の対象外だったので、総量規制の影響を受けず、主婦でも配偶者に安定した収入があれば利用できたり、収入の3分の1以上を借りられるというメリットがありました。金利も貸金業者よりは低く設定されていました。こうして銀行のカードローンは人気を集め、今や大手の都市銀行から地方銀行に至るまでカードローンを取りそろえるようになったのです。

一方、貸金業界では総量規制を逆手に取り、少額での借りやすさで対抗しました。審査基準が銀行よりも緩く設定されており、50万円までの貸付であれば、収入証明書を必要としません。また、インターネット上で申込から契約まで完結するようになり、誰でも気軽に利用できるような体制を整えていったのです。

また、多重債務に悩む人を対象とした「おまとめローン」も同じ頃に登場しました。一般的に利用者にとって有利な金利となることから、銀行だけでなく貸金業者でも総量規制の枠を越えて取り扱えるようになりました。

最近、アコムは自社で発行しているクレジットカード「アコムマスターカード」に力を入れています。発行の開始こそ1999年でしたが、近年ではショッピング専用のカードを発行するなど、選択肢を増やしています。また、大手の貸金業者の多くは、金融機関の債権管理回収事業を行っており、これが収入の大きな柱になりつつあります。

中小の貸金業者は地域に根差した営業活動を行うところや、インターネットを利用して全国から顧客を集めるなど様々です。大手に対抗するため独自の審査基準を設け、リスクの大きい貸し付けに対応するところもあります。

けれども、長続きしている中小の貸金業者ほど、どんなに手軽で簡単にお金が借りられる世の中になっても、自分たちのスタイルを崩さず、丁寧に窓口での対面を続け、融資の基準を頑なに貫いてきました。不良債権を出さない守りの融資もまた生き残る秘訣なのです。

現在、貸金業者の数は2,000を下回るほどになりました。今後も柔軟に時代のニーズに応えていくか、地道に安定した経営を続けていくか、二極化していくことでしょう。

さいごに

貸金業者、つまり消費者金融が登場してから、まだ50年の時間しか経っていませんが、その間に何度も浮き沈みを繰り返してきました。それはまた、利用者が適切に消費者金融と付き合えるようになるためのシステムを構築する歴史でもありました。

今もまだ総量規制によって借りられない人が闇金融に流れて多重債務に陥るなど、消費者金融にまつわる問題はつきませんが、少なくとも銀行の傘下に入っている大手の消費者金融については、以前よりも利用しやすくなったのは確かです。

今度は利用する側が消費者金融の仕組みを理解し、法で守られていることを意識しながら、正しく付き合うことを求められる番でしょう。